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最高裁判所第二小法廷 昭和53年(し)58号 決定 10511年 3月 31日

申立人

加藤新一

右の者からの費用補償請求事件について、昭和五三年六月二九日広島高等裁判所がした費用補償決定に対する異議の申立についてした決定に対し、代理人弁護士原田香留夫、同藤堂真二から特別抗告の申立があつたので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣意のうち、憲法四〇条違反をいう点は、無罪の判決が確定した者に対しどの範囲の費用を補償するかは立法政策の問題であつて、憲法適否の問題ではないから、前提を欠き、その余は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四三三条の抗告理由にあたらない。

なお、再審請求手続において要した費用は、刑訴法一八八条の二による補償の対象とはならないとした原判断は、相当である。

よつて、同法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(栗本一夫 大塚喜一郎 吉田豊 本林譲)

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